1999.9 タイ・マレーシア(2)

クアラルンプールでの長い一日(1999/9/5)

7時起床。水シャワーを浴びて身支度して街へでる。

マスジットジャメ(モスク)やムルデカスクエア(広場)、国立博物館なんかを散策しながらフラフラと適当にお店に入る。

インド人のお店でロティ(薄いパン生地を折りたたんで油を引いた鉄板で焼いたもの)をたのんだ。
(言葉が通じないので、焼いている人にコレと指さしただけ)カレーがついてきた。
ロティをカレーにつけるのか、カレーをロティにかけるのか?
前者でやったいたら、後ろのおばちゃんは後者をやっていた。


バトゥ洞窟に行こうと思い、バス停を探してしばらく待つこと20分。
ようやく来た。30mほど先に停車したので、走って追いかけた。
バス代の60senを握りしめ、バスに乗り込もうと、ステップを上がった。
前にいるおっさんが小銭をばらまいてしまった。人のズボンの裾をバタバタとはたいたり、足を持ち上げようとする。
「なんだよ」日本語で怒鳴った。後ろから人に押されるので、さらにステップを上がり握りしめていた小銭を料金箱にいれた。
おっさんはバスを降り、走っていった。「何だあいつ」と思いながらふとお尻に手をやる。
血の気が引いた。 
財布がない。
バスを飛び降りるが、後ろから押した奴も含め、どこに行ったかわからない。
もう一度後ろに手をやる。やっぱりない。スリだ。奴らだ。
呆然と立っているが、足がガクガクしている。
少し歩きながら、「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせ、対処すべき方法を考えた。
財布の中身
両替しようとした3万円、昨日替えた残りのRM250位、定期2.5ヶ月分、
部屋のスペアキー、VISAカード、CITIBANKカード
警察行くか?行っても解決しないからやめ。
(ポリスレポート:届出書がいるので警察に行くべきだった。なくても届けなかった
理由を書けばよい)
幸い、「地球の歩き方」は持っていたので、トラブルのページを読む。
コレクトで実家にかけるしかないというのが結論。
コレクトといえども硬貨は必要。ポケットにあったRM2.2を握り、電話を探した。
電話してみたが全く通じない。あちこちでかけまくっている内に硬貨がつまり、RM1.1を失う。
小銭が詰まっているのが見えるので果物ナイフを突っ込んだり、電話を殴ったり、
ゆすったりといろいろやったが硬貨は戻らなかった。
周りがびっくりしていたし、危ない行動だったので次の電話を探した。
このとき、電話は3種類あったが全部ダメだった。
ゲストハウスのフロントでかけようと思い、急いで戻る。
普段、方向音痴でもこういうときは勘が働き、まようことなく帰ることができた。
フロントのインド人に日本にコレクトをかけたいことを伝える。ここからはかけられないという。
どこならかけられる。Telecomに行け。そりゃどこだ。
地図を書いてもらい、説明を受けて再び外に出た。走る。走る。
下手な地図を握りしめ、説明を復唱しながら。1km程走って到着。
Telecomって電話の種類だったのね。ボックスに書いてあった。
残りの硬貨を入れ、歩き方を見ながら、KDDジャパンダイレクトにかける。
つながらないじゃん・・・
ほかのダイレクトコールの番号もあったので挑戦する。呼び出し音がなる。
電話の向こうから日本語が聞こえる。よしっ!。実家の番号を伝え、しばしの沈黙。
時間は午前11時半、日本は12時半、買い物に行ってないだろうな、お願いだから家にいてくれと祈る。
 
オペレータから「お待たせしました」の声が聞こえる。
だれも出ないと言われるかと思ったが、「どうぞ、お話し下さい」。いたっ! やったー!
「ジャパンダイレクトをご利用いただき・・・・」やかましい、早く代われ。
「いまどこー」と明るく母親の声が聞こえた。
女神の声だと思いながらも、明るくお話する気分じゃなかったので、トラブルの内容と
対処方法を伝える。
プッシュダイヤル切り替えの操作が分からないから父親に代わるという。
「オー、お父さんも居たのですか。全能の神、ゼウスよ」と思いながら、VISAとCITIBANKに
連絡を取ってもらうことを伝えた。
30分後にまたかけるといって電話を切った。
両親の存在が神の域に達した。いや、神をも越えたと感じた。
次に電話をするまでの間、電話の傍の日陰で待った。近くにたむろしている奴が、
マレーシアのテレカを見せながら、「日本人か?日本のテレカはきれいだ」みたいな
ことを言ってきた。
話をしている気分ではないので不機嫌そうに、Sorry,Idon't have とだけ言い、タバコを
吹かした。
30分が経過した。再び、コインをいれた。発信音が聞こえない。まさかと思いながら、
本当に最後の10sen硬貨を入れた。やられた。また、硬貨が詰まった。
両替すればいいが、30分くらいかかってしまうし、もう、のどがカラカラで動けない
状態になっていた。
まだたむろしている奴に声をかけた。テレカを売ると言っているが、そんな金はない。
コレクトだから貸してくれといったら貸してくれた。さっきはつれなく返事してごめんね。
再び、父親登場。「やっといたぞー」の言葉に思わず手を合わせた。
パスポートも大方の現金もあるのでこのまま続けることを伝え、電話を切った。
まずは両替して財布を買おう。そして昼飯とコーラを思いっきり飲もう。
少し元気になって部屋に戻った。
気を静める為に吸ったタバコが残り少なくなり、もう1箱出そうと、残り9箱あるはず
のカートンの箱に手をかけた。
あれっ、中身がない。部屋中、そしてバックを探したが見つからない。
携帯の灰皿もない。
部屋を荒らされた。でも被害はそれだけだった。もう、タバコくらいどうでもいいやと
思いながらも、フロントに誰か部屋に入ったか、タバコなくなったんだけど。と伝える。
一緒に探したがやはり見つからなかった。鍵はかけていたから留め具をはずしたとしか
考えられない。
フロントに兄ちゃんが鍵ごと留め具を引っ張った。釘が抜けた。何じゃコレ。
修理のおっちゃんが30分ほどかけて留め具を付け替えた。
その間中、ずっと、ドッカンドッカンと釘を打っては抜き、打っては抜き。
もう、勝手にやってくれ。
騒音の中、少しまどろんだ後、ペトロナスツインタワーに行った。
日本と韓国が1棟づつ競合しながら建てたビジネスタワーで452mの高さである。 
GPSで垂直を保って建設されているか監視しながら建てたそうである。
家のアパートは2階建てでも傾いているぞ。
下から見上げるとやっぱりデカい。
すごい、でかい、たかい、かっこいい、単語でしか説明できない。
 
タクシーに10分ほど乗って、ブキッビンタン(渋谷みたいなとこ)に行くことにした。
タクシーのおっちゃんと英語、中国語で会話した。
「LOT10」という場所を、中国人は「ロッテン」、日本人は「ロットテン」
と発音するらしく、行き先を告げた時には日本人とすぐに分かったらしい。
そういうことで日本人と分かってしまったのが悔しくて、わざと中国語で話した。
デパートを散策したり、夕食をとったりした。
今度は歩いて40分ほどかけてツインタワーに戻った。
ライトアップされたタワーはこれまた迫力があった。
横浜ランドマークとか東京都庁なんぞはおもちゃです。

 
地下鉄で最寄りの駅まで行き、ゲストハウスまで100m位のはずなのに、
迷子になって30分かかって帰り、長くさんざんな一日が終わった。
 
夕食:小盛りのライスに鳥の唐揚げがのって、甘いジュースとスイカ一切れRM3.8
ちなみに昼食のマクドナルドはセットメニューでRM5.95
水500ml RM1