2000. 9 タイ(5)

5日目-パタヤー(2000/9/27)
8時前にバスターミナルに到着。
8:30発バンコク行きのチケットを買って待つ。164B
8時になると、ラジオから国歌が流れてきた。ターミナルにいる職員、乗客は
みんな立って敬意はらっていた。国歌の流れる1分ほどの間は、スリも仕事を中断するのかな。

結局、9時に出発し、2度の休憩の後、5時間でバンコク北バスターミナルに到着する。
ここから、モトサイでスカイトレインのモチットまで行ってもらう。40B、ちょっと高かったかな。
そして東バスターミナルのあるエカマイにいき、14:40発のパタヤ行きに乗る。
2時間で到着し、すぐにモトサイでAPEXホテルへ、350B。


部屋で考えた。バンジーをしようと思ってここにきたけど、本当に大丈夫なのだろうか?
早く行かないと日が暮れてしまう、明日になると決意も鈍るかもしれない。
思い切って外にでて、モトサイを捕まえ、キウイバンジージャンプへ向かった。

風圧で顔が引きつるのだろうか、これからの恐怖で顔が引きつるのだろうか。

スタッフが5、6人いるだけで客は誰もいない。
「バンジーか?」、「イ、イェス...」
850B払って、何か分かんないけどサインして、体重を量って、パッパッパッと
クレーンのふもとまできた。まだ逃げられるけど、もう逃げられない。
台車にのって、まず体にベルトをつけ、次に二人掛かりで足を固定する。

映画、「グリーンマイル」の死刑囚の気持ちだ。
ここは、台車をクレーンでつり上げ、50mのところから5m×10m位のプールに向けてジャンプする
形式をとっている。
プールの周囲2mはコンクリート、その周囲は芝生になっている。
まかり間違って、コンクリートに激突すれば即死だし、プールだって水位が何mあるのか分からない。
深緑色した水だからこんなところにダイブするのも嫌だ。
そんなことを考えながら、上を見たり、下を見たり、そしてついに天辺で停まった。

ビルにしたら13階だそうである。
下のプールは座布団くらいにしか見えない。
一緒にあがってきたスタッフが、3,2,1,GOで頭からジャンプしろという。


椅子から立ち上がり、手すりに捕まりながらスタート位置につく。
「Are you OK?」
「ちょっ、ちょっと待った!」
目の前に広がる景色を眺める。
夕日に染まる海が見える。音はなにも聞こえない。静かだ。
フーッと深呼吸をする。

「OK!」振り返ってスタッフに合図する。
僕の人生で最後に見た人が君でないことを祈るよ。
「3,2,1・・・」とスタッフがカウントするが、
僕は自分で「1,2,3・・・」と数える。
そして、「ダァー」と叫び声をあげながら飛び込んだ。

ゴォーッ、という音が次第に大きくなる。
目の前の景色が流れるが何の景色だか分からない。
カッコ良く飛び込んだつもりだけど、きっとへっぴり腰だったんだろうな。
大きく見えるようになったプールがまた小さくなる。
あぁ、張力で戻ってるんだ・・・

プールが大きくなったり、小さくなったり、そのうち、ねじれたゴムが回転を始めた。
目が回る。
ウー、キモチワルイ~」
台車も下がりはじめ、両手がスタッフに届いた。


頭の中、真っ白。
ベルトを解かれ、平静を装って立っているけど、心臓バクバク、頭クラクラ。
よろけてプールに落ちないにカウンターに戻る。
会員証と記念Tシャツをくれた。
生きていたことの本当の記念だ。大切にとっておこう。

帰りの足がないことをスタッフもしっているらしく、50Bで乗せていってくれるという。
行きの40Bより高いけど、探す気もないのでお願いした。
ホテルのベットで放心状態が続いた。
もし、他に一緒に飛んでいた人がいれば、テンション高く話していたかもしれない。
一人だと、放心なのか、興奮なのか、何かを考えているけど、何も考えられない状態にいた。

「今回の旅、これで終わったな・・・」

この後、軽い食事をして、海岸を歩いた。
「ハーイ、ニッポンジン・・・」
「マッサージ・・・」
「ミルダケタダ、ヤシイヨ」
「タクシー・・・」
おきまりのフレーズ、騒音、波の音、すべてが風に包まれ、心地よく感じた。